未来的愛玩具2(6)

未来的愛玩具2

その朝は久しぶりの快晴だった。

「くみさん、小芋は好きでっか?」

キッチンで包丁を使いながらボロが聞いてきた。

朝食はいつもボロが作ってくれる。

ベッドで雑誌を読んでいたくみは「好きよ」とページから目を離さずに答えた。

すでに二人の生活も3週間目に入るが、取りたてた問題は何もなかった。

むしろ昔に比べ快適な生活だった。

ボロは身の回りのことをすべてしてくれた。

良き相談相手であり話相手でもいてくれた。

ベストパートナー。

小芋の煮物はほどよい味に仕上っていた。

「ボロちゃんは、私以外の他の人好きにならないの?」

差し向かいで一緒に食べているボロにくみが聞いた。

「ならしまへん」とボロが笑顔で答えた。

「そうよね」とくみはいまさら何を聞いているのだろうと思った。

「今日仕事終わったら、映画見まへんか?」とボロが聞いてきた。

最近ではボロもアルバイトだが仕事をしている。

ロボットの社会進出に伴い、労働法の改正でロボットにも労働の場が与えられるようになった。

今日ははじめての給料が貰えるので誘ってくれているのだ。

彼は申し分がないほどくみを愛してくれている。

「そうねえ・・・」と考えているようだが、くみの頭の中は昨夜の恭介との記憶が蘇っている。

夢ではなかったのかとも思う。

カフェを出て別れたのだが、別れ際確かに恭介はくみとの交際を改めて求めたのだ。

「そうねえ・・・」くみは再び同じ言葉を繰り返した。

出勤用のバッグの中のくみの携帯電話が鳴った。

「ハイ?」と少しいつもより高音の声でくみは出た。

「こたろですが、お久しぶりです」

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