未来的愛玩具2(7)

未来的愛玩具2

今朝ボロから誘われた映画は結局見なかった。

断わったところで人間の男のように文句を言うこともなければへそを曲げるもこともない。

今はくみに頼まれた買い物を果たすためにボロは出かけている。

今食べたいわけではなかったけど、三宮にしか売っていないシュークリームと限定した。

くみは独りで考えたい時間が欲しかった。

くみは混乱していた。

今朝こたろから電話があり、会社帰りに会いたいと言ってきた。

3年振りのことだ。

二人とも仕事は大阪だったが、思い出深い神戸で会った。

北野にある洋風造りの居酒屋で食事と酒を飲んだ。

こたろとも久しぶりの再会だったが、ビール一杯で二人とも昔の頃に返ることが出来た。

ビール3杯目の途中で彼はセブンスターに火をつけて、少し真面目な口調で語り出した。

彼独特のストレートには言わない口調だが、簡単に言えばお互いよい歳になったので、もしよければ今後も時間を掛けて会わないか、と彼は切り出した。

遠巻きに個人的な付合いを求めているのかとくみは思ったが、最初信じられなかった。

くみは冗談口調で何度も形を変えて確かめてみた。

何度か聞いた最後に、こたろは少ししびれを切らして「付き合おうと言ってるんだよ」とキツイ口調で言い切り、一気にビールを飲んだ。

くみは噛み切れないイカキムチをゴクリと飲み込み、こたろをしばし見つめていた。

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