未来的愛玩具2(11)

未来的愛玩具2

こたろと恭介は、無言でくみとボロの所まで近づいて来た。

3人の男がくみを取り囲む形となった。

3人はくみの言葉を待った。

「テス、テス」くみはおもむろに高音域で発声した。

「なんですのん、それ?」前屈みになったボロが堪りかねてくみに突っ込んだ。

「いいシーンなので、声の調子を・・・」くみはきわめて素で言ったが、こたろも恭介も表情をひとつも変えなかった。

くみはアドリブが、スベッたことを知った。

が、遅かった。

「3人のわたしへの気持ちを有難く思います」

くみはそれぞれに向かって言った。3人の男は微動だにしない。

「3人からのわたしへの愛の答えを出すために、今日ここに来てもらいました。

正直言って3人が揃うまでまだ決めかねていました。

でも、今、ひとつだけはっきりしたことが・・・」

3人の男はなおも無言でくみを凝視している。

「わたしはやっぱり・・・好きになる人は、ほんとうの人間の男の人が・・・」

ボロが思わず顔を上げた。

くみは、ボロの顔をまっすぐに見詰めた。

くみの頬からは涙が伝わっている。

「ボロちゃん、ごめんね。ずっと優しくしてくれたのに・・・」

ボロは信じられないという表情でくみを見続けた。

「く、くみさん、そんな、わて・・・」

ボロは声にならない嗚咽交じりでそう言った。

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