未来的愛玩具2(13)
岸壁の3人の男と、横たわった女の影は長い時間動かなかった。 誰も言葉を発しようとしなかった。 最初に動いたのはこたろだった。 こたろはゆっくりとボロに...
岸壁の3人の男と、横たわった女の影は長い時間動かなかった。 誰も言葉を発しようとしなかった。 最初に動いたのはこたろだった。 こたろはゆっくりとボロに...
「ごめんなさいね、ボロちゃん・・・」 くみは同じ言葉をただひたすら言い続けた。 両の拳を力の限り握り締めボロは佇んでいた。 肩を震わせて両目からは大粒...
こたろと恭介は、無言でくみとボロの所まで近づいて来た。 3人の男がくみを取り囲む形となった。 3人はくみの言葉を待った。 「テス、テス」くみはおもむろ...
神戸港の波は満月を反射して美しく穏やかだった。 第1突堤にくみとボロはすでに来ていた。 対岸にはモザイクの電飾が華やかに見える。 先週の土曜日にはその...
くみはついに人生最大の岐路に立たされていた。 恭介とこたろには、あれ以来数回ずつ会っている。 二人とも以前からは考えられないほど真摯にくみを求めて来た...
くみとボロの生活は何も問題がなく穏やかに過ぎていった。 ボロは勤勉に働き、くみには優しくしてくれた。 くみは憧れていた生活を手に入れることができたのだ...
今朝ボロから誘われた映画は結局見なかった。 断わったところで人間の男のように文句を言うこともなければへそを曲げるもこともない。 今はくみに頼まれた買い...
その朝は久しぶりの快晴だった。 「くみさん、小芋は好きでっか?」 キッチンで包丁を使いながらボロが聞いてきた。 朝食はいつもボロが作ってくれる。 ベッ...
流行りのカフェは遅い時間にも関わらず、恋人風のカップルで賑わっている。 くみがいつも独りで酔った帰りに横目で見過ごしていた風景だった。 「あんたらなに...
恋人型ロボットとの生活も数週間が過ぎた。 くみはこれまでにない快適な生活を楽しんでいる。 一番嬉しかったのは会社から帰ってくると「おかえり」とボロが笑...