未来的愛玩具2(4)

未来的愛玩具2

恋人型ロボットとの生活も数週間が過ぎた。

くみはこれまでにない快適な生活を楽しんでいる。

一番嬉しかったのは会社から帰ってくると「おかえり」とボロが笑顔で迎えてくれることだ。

長い独り生活者にとって、灯りのある部屋に帰れることはこの上なく嬉しい。

数年前に上映された「A.I」の中でのロボットは人間と同じ食事が出来なかった。

食べれば機械なので壊れてしまうというシーンがあった。

実用化された現代のロボットはその辺りも改良されている。

人間と同じく食事がとれるようになったのだ。

人によれば一緒に食事をしたいという希望があったのを可能としたのだ。

しかし食べなければ起動しなくなるというものでもない。

電池交換さえしていれば問題なく作動する。

くみも余裕がある時は、ボロと一緒に食事を楽しんだりする。

しかし給料日前などは「今日は食事なしね」と言えばそれでよい。

人間の男と違い不平は一切言わないのだ。

話では聞いていたが実際使ってみると愛用者が増えてきている需要がわかる。

今後はさらに増えてくることだろう。

プログラムにより炊事、洗濯、掃除とすべてをこなしてくれる。

主婦用の家政婦型ロボットの機能も付随されているという優れものだ。

大きな買い物だったけど、くみは今のところ大変満足している。

もちろん夜のお供もしてくれる。

夜用のプログラムも好きに設定出来る。

今晩のプログラムを説明書を見ながら鼻歌交じりで設定している時、部屋の電話が鳴った。

くみが説明書の本を見ながら電話に出た。

「くみちゃん、久しぶり。オレ、大野恭介」

「えッ!」

くみは驚きのあまり、持っていた分厚い説明書をフローリングに思わず落としてしまった。

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