未来的愛玩具2(2)
未来的愛玩具2
もうすぐ約束の時間だった。
くみがアレをインターネットを利用して購入の申し込みをしたのは丁度一週間前の日曜日だった。
フト目に入ったチラシからはじまった。いつかも38万円もする美顔器を衝動的に購入した。
そういう性癖が前からあるのは自分でも知っていたが、今回はその美顔器の4倍もする買い物だった。
「それで世間体と、愛が手に入るのなら安いものだ」というのがくみが出した最終結論だった。
ロボットは最上級のモノとはいかなかったがそこそこ良いものを時間を掛けて選択した。
現代科学が生んだ「人口知能」というものに人生を掛けてみようじゃないか。くみは腹をくくってその到着を待った。
予定時間を5分過ぎて玄関のチャイムが鳴った。くみは少し緊張して、中腰のまま玄関ドアを眺めた。再びチャイムが鳴った。
「ハ、ハイッ」いつものように宅急便でも取りに行く程度で良いのだ。
くみは自分に言いきかせながら玄関に出た。ロックを解除してドアチェーンをはずした。
「こんにちわ」とくみよりも頭ひとつ分背の高い男性だった。
くみは目を丸くした。
その男性はにこやかにくみに微笑んでいる。
「梅本くみさん、ですよね?」とその男が聞いた。
「そ、そうです」くみは少し後ずさりしながら答えた。
麻のサマージャケットに髪がやたらサラサラしているその男性は、くみに恐怖心を与えまいとその場で立っている。
「僕があなたが注文した製品です」と、笑顔を絶やさずその好青年はくみに言った。