あらすじ
主人公の向井聡は共同オーナーの落合幸弘とダイニングバー「HEATH」の経営をしている。レストランのスタッフにとアルバイトの宇都めぐみと佐藤公平も雇い入れ、店の経営は順調に進んでいた。
向井には妻と小学3年生の愛娘とで、これ以上に無い幸せな生活をしているというところから物語ははじまる。
ある日向井の元へ一通の封書が届く。
その内容には「あの男たちは刑務所から出ています」とだけあるが、その一文で向井にはそれの意味することが理解出来た。
向井には誰にも話すことが出来ない暗い過去があった。
若い頃顔に痣がある事からいじめられ、向井は自暴自棄になり犯罪まで犯すようになる。ある事がきっかけで街のヤクザに軟禁された向井はヤクザ3人を斬りつけ逃亡する。
逃げ回る向井は一人の老女坂本伸子に出会う。伸子は向井を不憫に思い、食事を与え寝床も提供する。親身になってくれる伸子に、向井は自分の今の現状を話し金の工面をする。
向井はヤクザから逃げ切るには新たな戸籍が必要であり、闇の戸籍を買うには200万円が要るという。そして顔を変える整形手術の費用と逃亡資金も合わせて500万円が必要なのだと伸子に話す。意外にも伸子はある「約束」を果たしてくれたら、その500万円を出してもいいと向井に持ちかける。
伸子には由希子という17歳の娘がいた。由紀子は高校からの帰宅途中に門倉利光と飯山賢治という若い男たちに1週間拉致監禁され、地獄のような凌辱の果てに殺害されたという過去を持つ。
門倉利光と飯山賢治は、すぐに捕まり無期懲役の刑となっていた。
伸子は由希子の無念を晴らすため、門倉利光と飯山賢治とが出所したら二人を殺してくれるという「誓約」を結べば、支度金の500万円を向井に渡してもいいと言うのだった。
葛藤する向井だったが、伸子はその時すでに余命数カ月を宣告された癌を患っており、そう長くは生きられないと考えた向井はその「誓約」の元に伸子から500万円を受取る。
そして月日が流れて向井の元へ届いた手紙が、その門倉利光と飯山賢治の二人が出所した、という内容だったのだ。訝しがる向井の元へ手紙はその後定期的に送られてくる。そしてその門倉利光と飯山賢治の居場所も書いた内容文も届いた。
徐々に恐怖に駆られる向井の元へ、脅迫者からスマートフォンが送られ、そのスマートフォンから機械音声で「あの約束を果たせ」とついに脅されることになる。その約束を果たさない場合は、向井の愛娘のほのかに危害を加えると、ほのかの写真画像も送りつけられた。
向井は寒々しい携帯から聞こえてくる機械音声に叫ぶ。
「あなたは癌を患っており、すでに死んだはずだ」と。
返ってきた返答は、
「私は身体を失った魂です」
と、声は向井をあざ笑う。
いよいよ家族に危険が差し迫った時、向井は殺害指令を受けたターゲットの男たちの元へ行かざるを得なくなる・・・
誓約 Audible Logo Audible版 – 完全版
感想
向井が単独で殺害しなければいけない男たちへ向かう頃から、ストーリーは二転、三転、四転、五転、六転し、ヘッドフォンを離せなくなる(audibleの音声読本なので)
ラストも同然、予想しえない結末となるのだけど、それは果たしてハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのか。
と、云うところです。
最近は下手なサブスクの映画を観るよりも、良質な作家のaudible(オーディブル)を聞く方がよほどおもしろいのではないかなぁ、とも思ったりしています。