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借り物の恋じゃなく自分で見つける本物の恋をしようよ

「恋っていうのは、するものじゃなくて、落ちるものなのよ」

って言ったのは小説家の江國香織(えくにかおり)さんっていう人なんだよ。江國香織さんは、今若い女性にとても人気のある本をたくさん出してるね。まだ読んだことがない人は、とても読みやすいので読んでみたらいいいと思うよ。

冒頭に上げた一節「恋っていうものは、するもんじゃなくて、落ちるものなのよ」が「あ~わかるなあ」と心に染み入る人はね、恋愛を十分経験してきた人だと思うよ。

「へ~、そうなんだ」と感じた人は、まだまだ本当の恋というものをしたことがない人だと思う。

したくないと思っても落ちてしまうのが恋なんだ、と。その言葉は、もう、見事に、人間というものを、よく表しているね。さすが流行作家ってところだね。

そう「恋」とは本来「する」という能動的なものじゃなくて、「落ちて」しまったと感じるものだと思うよ。

だからこそ、どうしょうもないやるせなさや切なさが伴うんだろうね。

でもね、僕も長い間人に「出会い」を提供する仕事をしてきて思うんだけど、最近は恋に「落ちる」ということよりも、恋を「する」ことを選ぶ人が多くなってきてるような感じがするのね。

それはなぜなんだろうね。

思うに、それは男も女も自分で考えるということをしなくなっちゃったからじゃないかと思うね。

彼女、彼氏が欲しいと思えばどうするかと言えば、近年ではまず「出会いサイト」なるものが思い浮かぶよね。または結婚紹介所に登録する人の数も多くなってきてるんだよ。

誰かに頼ったり、誰かにすべてを「して貰おう」とするんだよ。自分で考えてなんとかしよう、という人が少なくなってきたように思う。

別に誰かを頼るということは悪いことじゃないんだけど、創意工夫までしなくなっちゃったんだよ。

良い恋をしたいと思えば、まずは自分を磨かないといけないのね。そうしなくては良い男もイイ女も手に入らないんだよ。

魅力的でキラキラしていないと、異性は近寄って来ないよ。

でも、そういうことすら知らない人が多くなってきているね。自分のことは棚に上げておいて、付き合いたい相手の条件ばかり上げてるよ。

それじゃいくらたったって、理想の人とは結ばれないよ。

それに気づかないと。

時代が進み、今はとても便利な時代になってるよ。欲しい情報はTVでも雑誌でもインターネットでも、どんどん入る。無駄なことがどんどん省かれていく時代になってるんだね。

でもね、生身の人間を磨く作業っていうのは結構無駄なことをやったり、余計な知識を身につけた後に出て来る気がするのは僕だけかな?

付き合いたい人の条件は、相手の外見だとか、年収だとか、仕事だとか、目に見える部分を並べる人が多いけど、人が「恋に落ちる」というのは、そういう目に見える部分じゃないんだよ。

なんて言うのかな、男側から見れば、さほど美人っていう子じゃなくても、その子が何気にした失敗を恥ずかしそうにした表情とか、二人で食べ終わった食事をウエイトレスさんが後片付けしやすいように皿を重ねて並べるような仕草を見て「あ、いいなあ」と感じるんだよ。

僕は女性じゃないから、女性が男のどこを見て「恋に落ちる」のかは、実感としてわからないけど、やっぱりそういう部分を見て「いいなあ」と思うこともあるんじゃないかな。

何気に出てしまう仕草だとか、クセというものにはその人のバックボーンが現れるのね。

大切なのは、それを見極める目だと思うんだよ。

見極める目というのは感性なんだよね。

今は、なんでもすぐに分る時代なので、想像力が欠けている人が多いと思うよ。表面的な部分だけを見て、判断してしまう。その奥にあるものや、それが「どうしてなのか」と考えない。

奥の深い考えや知識を持っている人は、とても魅力的なんだよ。でも、表面的なものしか見れない人には、そういう奥深いものを持っている人は判らない。

今の日本は、大きなことを言えば大人的な考えや大人の文化というものが希薄になってきてるのが一番の問題だとは思うけどね。

歌謡番組がジャリタレに占領されていてはダメなんだよ。若い歌手の歌を知らずにいて、会社の若い子らからバカにされて恥ずかしがっていてはダメなんだよね。

大人たちがもっと思慮深い考えで、大人の文化を創らないといけないのね。

恋もその国の文化に大いに影響されるからね。

今の恋の多くは子供の恋なんだよ。

だいたい男も女も40を過ぎれば「もう恋をする年でもない」とリタイアしてたらダメでしょ。人間40を過ぎた頃から、いい味が出て来るんだから。

借り物の恋じゃなく自分で見つける本物の恋をしようよ。

「固定概念」というのはね、常識に縛られすぎて自由な発想の出来ないことを言うのね。だからもう付き合いたい人を、見える条件を並べて言うのは止めようよ。

「好きなタイプの人はどんな人?」と聞かれたら、「そうだね、時間がない出掛けにでも、玄関に並んでいる靴を揃えようとする人」とか「春は香りじゃなく、春の匂いと表現する人」なんて答えれたら最高じゃないかな。

感性のある人なら、そういう答えを聞いても「わかるわかる」って答えるよ。

そうしたら、そういう会話を楽しめる人同士というのは結構気が合って、男女なら良い関係になれるかもね。

そういう言葉ではすぐに表現できない見えないものを、感じ取れたり伝え合えたり出来ることが大切なんだと思うよ。

どうかな?

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